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薬を1週間飲み続けるだけで、がんの発生リスクが半分に下げられる、そんな予防法、他にありません

永原章仁

順天堂大学医学部 消化器内科

教授 永原章仁

こんな予防法は他にない‥

胃がんと診断されたら精神的肉体的ストレスは大きいものがあります。したがって予防に勝るものはありません。ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発生リスクは半分以下になることがわかっています。わずか1週間、除菌治療薬を飲み続けるだけで胃がん予防ができるのです。こんなに効率のいいがん予防法は他にありません。しかも、健康保険で治療できますから個人負担はわずかです。最近は新しい薬剤も出てきて、ピロリ菌感染者のほぼ全員が除菌できる時代になってきました。とはいえ、成功率100%ではありませんので、除菌が成功したかどうかを確かめる必要があります。
しかし、除菌が成功したことを確かめる判定に来ない方もいらっしゃいます。風邪薬と同じ感覚で「飲めば終わり」と思っている方もいると思います。その方たちは除菌が成功しているかどうかもわかりませんし、処方した除菌薬をきちんと飲んでいるかどうかもわかりません。当科で調べたときも、除菌治療を受けた方の約1割が除菌判定に来られませんでした。除菌治療後にも胃がんは発生します。来院されないと、除菌後の胃がんの診断機会も逸してしまうわけです。

除菌後も内視鏡検査は必須

除菌に成功しても胃がんが発症することがあるので、除菌後も定期的な内視鏡検査は欠かせないのですが、受けていない方もいらっしゃいます。自覚症状もないので億劫になる気持ちもわかりますが、放置してしまうと、いきなり進行がんで見つかってしまうケースもあります。除菌治療により、胃がんになるリスクは半減しますがゼロにはならないことを忘れないでください。

生涯にわたり胃袋に責任を持つ、という気構えで

除菌した方からよく聞かれることが2つあります。ひとつは「除菌後、いつまで内視鏡検査を受ければいいのか」という質問ですが、除菌後10年以上経って胃がんが診断された例もあり、何年たてば大丈夫‥ということは言い切れません。一生受け続けるものと割り切ってください。もうひとつは「定期的に内視鏡を受ける‥というけど何年に1回受ければいいのか」という点です。除菌後に新たに発見された胃がんで、開腹することなく内視鏡治療ができた方々の検査間隔を調べたところ、2年以内がほとんどでした。したがって、できれば毎年、少なくとも2年毎の内視鏡検査をお勧めしています。少なくとも、ピロリ菌に感染していた方は、生涯にわたって内視鏡検査を受けていくものだと心に刻んでください。でも、それを続けていけば、胃がんで命を落とすことはほとんどありません。

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