ドクターからのメッセージ 知っておいて損はない!エキスパートドクターから受診される皆様へのアドバイス

いま、検診の現場で増えているのは「ピロリ除菌後の胃がん」
除菌が終わっても定期的な内視鏡検査を

公益財団法人早期胃癌検診協会 附属茅場町クリニック

所長 中島 寛隆

増える内視鏡検査、眠ったまま受けられる検査も‥

 当院は、立地が日本有数のオフィス街というもこともあり、職域検診や人間ドックで内視鏡検査を受ける方が多いのが特徴です。

 胃の検診には主に3つの方法が用いられます。口から入れる経口内視鏡、鼻から入れる経鼻内視鏡、そしてバリウムを使うX線検査などで、このいずれかを選びます。

 従来のX線検査を希望される方もいますが、最近は内視鏡を選ぶ方が多くなってきました。

 経口内視鏡は鎮静剤を併用すると眠ったまま検査を済ませることができますが、検査が終わった後すぐに仕事に戻ることが難しいというデメリットがあります。一方で経鼻内視鏡は、鼻粘膜と喉の局所麻酔のみなので検査直後から仕事に戻ることができます。さらに経鼻内視鏡は、喉を観察しやすいというメリットもあります。特に検査中、トランペットを吹くように頬を膨らませる動作を行うと咽頭や喉頭の観察が容易になります。これは意識があるなかでの検査による利点です。ただ、女性では狭い鼻の中を内視鏡が通ることに不安を感じる方もいらっしゃいます。このように、それぞれの検査方法にはメリットとデメリットがありますから、それらを説明してご本人の意向も踏まえた上で検査方法を決めていきます。

 男性は経鼻内視鏡を選ぶ方が増えていますが、女性は「眠っているうちに検査を済ませたい」と鎮静剤併用での経口内視鏡を選ばれる方が多くなっています。

 いまは、内視鏡の性能や画質も進化し、とてもきれいに見えるようになりました。そのおかげで診断精度が向上し、検査時間も短縮、少しずつ患者さんへの負担も少なくなっています。

最近目立つのは、ピロリ菌を除菌した人のがん

 当院では、1年間に10~20件の胃がんを発見しています。その内訳を見ると、最近はピロリ菌の除菌治療を受けた方の割合が高くなっています。

 2012年度に発見された胃がんは19件、そのうちピロリ菌の除菌経験者は4件でしたが、2017年は見つかった胃がん14件のうち、除菌経験者が9件(64%)を占めていました。

 2013年に慢性胃炎に対する除菌治療が保険適用になり、除菌治療を受けた方が多くなっていることが影響していると思います。幸い、当院に来る患者さんは、健保組合や会社から、除菌治療が終わっても内視鏡検査を受けるよう指導されているようで、除菌したあと放置されているケースは少なく感じますが、これだけの除菌後胃がんが見つかっていることを考えると、除菌した後のサーベイランス(定期的な内視鏡検査)はきちんと行うべきだと思います。

 胃がん予防で大事なのはピロリ菌対策です。まずは、ご自身のピロリ菌感染の有無を把握して感染していたら除菌、未感染であっても食道や咽頭・喉頭などでがんが発症することがありますので、50歳になるまでには一度内視鏡検査を受けることをお勧めします。フラッシャー(お酒を飲んだら赤くなる)の方は食道がんのリスクが高くなりますので、もう少し若い時期、40代で受けた方がいいと思います。

 そして、大事なのは「ピロリ除菌治療を受けたら、胃がん検診は終わり」ではないということ。繰り返しになりますが、除菌してもがんになる人はいます。くれぐれも「ピロリ菌が除菌できても、がんになる確率がゼロになるわけではない」ことを忘れないでください。

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