日本消化器内視鏡学会は、2020年4月6日付で現在のCOVID-19の状況に鑑みた内視鏡診療について以下のように提言した。
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コロナウイルスの感染経路は飛沫感染、接触感染が基本であり、2019新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)も主な感染経路は同様であるとされています。消化器内視鏡の施行にあたっては、特に経口・経鼻での施行では患者の咳嗽を誘発する場合もあり、エアロゾルによる医療従事者への感染も危惧されます。特に内視鏡検査室など密閉された空間で、高濃度の汚染されたエアロゾルに一定程度の時間曝露した場合には、エアロゾルによるウイルスの伝播が高頻度で起こりうると考えられます。また、糞便からのウイルス排出の可能性も指摘されており、下部消化管内視鏡検査における潜在的な感染リスクもあり得るとされております。
これを踏まえて、消化器内視鏡診療の適応について、下記のとおり提言している。
最近の感染拡大の状況に鑑みて、SARS-CoV-2のPCR検査陽性の方・以下の条件のいずれかに該当する方(COVID-19が確定した症例・臨床的にCOVID-19を疑う症例:ハイリスク患者)に対しては、緊急性のある場合においてのみ消化器内視鏡診療の施行を推奨します。さらには条件に該当しない方(臨床的にCOVID-19を疑わない症例:ローリスク患者)からのウィルス感染の報告も相次いでいるため、このような方に対しては、適応を慎重に勘案した上で緊急性がなければ延期も含めてご検討ください。なお、ハイリスク患者に対して緊急の消化器内視鏡診療が必要な場合は、各施設基準に則り施行してください。
- 感冒症状や 37.5℃以上の発熱。
- 2週間以内の新型コロナウイルスの患者やその疑いがある患者との濃厚接触歴。
- 2週間以内の感染多発地域への渡航歴(感染地域は日々拡大していますので、アップデートされた情報に基づいて各施設で対処してください)。
- 強い倦怠感や息苦しさ。
- 明らかな誘因のない味覚・嗅覚異常。
- 明らかな誘因なく4−5日続く下痢等の消化器症状。
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なお、この提言は学会が示したひとつの目安であり、それぞれの施設の対応を制限するものではないものとし、この指針を参考にして、各地域、各施設の状況に応じて具体的に適切な対応策を決めていくことが重要としている。
詳しくはこちら(医療関係者向け)
https://www.jges.net/news/news-official/2020/03/30/27450